■ どこを走るか?
これは実は最も基本的な問題だが、意外に難しい問題だと思う。実は私も最初は外を走るのが恥ずかしい気持ちもあり、ジムのトレッドミル(ランニングマシン)がメインだった。しかし、1回300円の地元のスポーツセンターとはいえ、毎回ジムに行っているうちに、走るだけなら無料だし道でも良いんじゃないか?と思うようになってきた。こうなると、Googleマップを見ながら、どこなら走れそうか悩むようになる。ここで少し私の考え方を紹介したい。
最も簡単なのは、近くにランニングコースがある場合だ。私は独身の頃は中野区に住んでいたのだが、家のすぐ近くを車の通れない緑道が通っており、ここが絶好のランニングコースになっていた。そんなに多くはないがランナーも居たので、走っていても不自然ではないし、地面も整備されていたので良かった。他にも大きな川が流れている場合には、川沿いにランニングコースが整備されている場合も多い。東京だとランニング用ではないにしろ、案外こうした舗道が探すと身近にあるもので、重宝すると思う。
一方で、現在住んでいる練馬区は、練馬区の中でも田舎の方ということもあり、こんな気の利いたコースはない。しかも、都会ならそれほど気にもならないのだが、郊外になると住宅街を走りすぎるのも不審者のような感じがして、周囲の目が気になるのだ。そこで私がおススメするのが、「十分な歩道のある広い車道」だ。広めの国道とか県道のイメージで、もちろん途中で歩道が凸凹になったり、一瞬途切れてしまうような部分もあるかもしれないが、周囲の目も気にせず走りやすい。ちなみに私の家の近くにはかなり歩道が広い新しい大通りがあるので、そこをメインのランニングコースとしており、私以外にもランナーは結構多い。もちろん、大通りに出るまでは住宅街を走らなければならないが、私の場合は500mくらいなのであまり気にせず走っている。
■ 同じ道は飽きる
また、せっかく良い道を見つけても、次なる試練が訪れる。10回も走ると飽きてくるのだ。そこで、私の先ほどのススメが活かせるのではないかと思う。つまり、決して一番走りやすい道だけを選ぶのではなく、歩道のある大きめの道を対象としておくと、東西南北4方向のそれぞれどこかには道があり、少なくとも4パターンの道を進めるはずだ。実際には、例えば東に進むにもいくつもの道がある場合だってあるだろう。
私の場合、北側に行くには大通りに出るまでに2kmくらい走らなければならないという難儀な事情がある。また、東側に行くためにも2kmくらい進まないと大きな道がない。近くには歩道のない危険な道しかないのだ。そこで、西に進むか南に進むかなのだが、メインは南に数km進んでから分岐を楽しむコースで、飽きてくると西に進んだりして気分によって使い分けている。ちなみに西に向かう道も3通りくらいある。最初のうちは、週に4回走れば毎回違うコースを走っているイメージだった。そのため、大体4コースぐらい想定しておけば飽きないだろう。
■ 何km走るか?
大体走るコースが見えてきたら、次は何km走るかだ。最初のうちはせっかく大通りに出ても、少しだけ大通りを走って帰ってくることになるかもしれない。2~3kmから始めればそれで当然なので、何も気にすることはない。1ヶ月もウォーキングやジョギングを続けていれば、5kmくらいまではすぐに走れるようになるからだ。自分のペースで走れば、苦痛なく5kmは走れると断言する。但し、疲労が溜まっているときや、2日連続で走ったりするのは最初は避けた方が良いと思う。
このように走行距離に合わせて走る方向に距離を取ればよいのだが、当然帰ってこなければならないので、5kmであれば2.5kmくらい先から折り返してくることになる。「なんだ、ちょっと先じゃん」と思うかもしれないが、2.5kmを侮ることなかれ。案外近所でも自分の知らない場所が多く、楽しいのだ。できるだけ普段自分の行かない方向に走ってみるのも面白い。最初のうちは「この道は、ここに繋がってたんだぁ!」なんて発見が山のようにあった。そうすると、もっと先まで行ってみたいという気持ちが芽生えるようになる。実は私は今でもこれが走るモチベーションの一つだ。
さすがに平日は1時間くらいしか走れないので10kmくらいで帰ってきてしまうのだが、休日などは2時間くらいなら走れるので、平日走ったコースで続きが気になる道や、分岐で行ってみたかった方向に走ってみたりする。すると、実は私が大学時代に遊んでいた場所にでたり、昔友達が住んでいた場所に出たりして、非常に面白い。今の家が当時の行動圏に近いとは感じたことがなかったのだが、走ってみると案外近いことが分かってきた。10km~15kmくらい走れるようになれば、東京なら2~3個の市や区を股にかけれる。知らない道を進むということが、大きなモチベーションになるのだから、走るコースを考えることは馬鹿にしてはいけない。
■ それでもやっぱり近所は飽きる
このようにかなり近所でも楽しめるのだが、それでもやっぱり最初の数kmは必ず通らなければ行けない道もあり、結構飽きてくるのが正直な気持ちだ。但し、そんなに飽きるまで同じ道を走ったということは誇ってよいとも思う。しかも、こうなってきたら、いろんな新しい挑戦が見えてくるではないか!例えば通勤の道を途中まで走ってみようかな?とか、休みの日に電車で自然豊かな場所まで出かけてみて、そこで10kmくらい走ってみようかな?とか、夜中に大都会のコンクリートジャングルを走ってみようかな?とか、いろんな欲求が溢れてくる。これも、一定の距離を走ることができるという体力と自信を育ててきたからだ。こうした非日常のランがあれば、平日のいつものランだってまた違ったものに見えてくるかもしれない。
実は私はいまこの段階にあり、少し田舎の方へ電車で行って、トレイルランの真似事でもしてみようかななんて思っている。また、通勤ランも少し検討してみようかなとも思っている。とにかく知らない道を通るのは面白いのだ。自分の足だったら車やバスでは通れない道も通れるし、バイクや自転車よりも街の匂いや雰囲気が感じられる。
実は私は学生時代に何度も海外を訪れ、最長で1年間アジアをふらふらしていたバックパッカーだった。当時の街の移動も最初は飛行機も使ったが、次第に中・長距離バスを経て、最後はローカルバスしかほとんど使わない旅行者になっていた。最終的には自転車にも少し手を出していて、とにかくできるだけ何でも自分の目で見て、舐めるように街に浸かるのが好きだったのだ。街と街は断絶しているわけはなく、そこを繋ぐ道もまた無視してよい存在ではないのだ。そんな感情を10年越しにランニングで思い出してしまうとは、人間てあんまり変わらないものなんですね。